【検証】#12 日本の農作物は「農薬まみれ」なのでしょうか。極限まで妥協しない農薬調査⑥

農業

相変わらずインターネット上に蔓延る
「日本は世界一の農薬大国」
「日本の農作物は農薬まみれ」

というフレーズ。筆者も辟易としているところではあります。
この手の主張によく引用されるのが「国別農薬使用量ランキング」といったもの。

主要データ元であるFAOSTATは農薬使用量について実時間から約2年遅れて更新されます。
7月時点で2021年度の情報が上がっていましたので、情報をアップデートして常に正しい統計を知識として取り入れていきましょう。

少しでも多くの方が確かな知見を持てますように。

昨年と比べて

例によってFAOのサイトからPesticides Indicatorsを探します。

しかし当該項目がどうやら削除されているみたいで、くまなく調べたところPesticides Use項目のELEMENTS内に「Use per area of cropland」として組み入れられている様です。安心安心。

昨年度も耕地面積と農薬使用量のデータがありながらPesticides Indicatorsに反映されていない国がいくつかあったので、今回も単にkg/haのデータだけでなく面積と使用量をそれぞれ抽出してダブルチェックしていくつもりです。

この辺りは妥協するつもりは全くありません。

条件を確認

① 国名(countries):全ての国
② 要素(elements) :耕地面積あたりの使用量
③ 種目(items)    :農薬(総量)
④ 年度(years)    :2021年

例によってこんな感じで調べていきます。
また、Land Useの項目から耕地面積croplandを抽出したのち、2つのデータを擦り合わせてダブルチェックします。

さて、気になる結果は…

結果発表

如何でしょうか?

2021年度現在の耕地面積1haあたりの国別農薬使用量において日本は世界第20位でした。

では、詳細を見ていきましょう。

詳細と考察

さて、表からもう一度詳細に見ていきましょう。
グラフからは日本の耕地面積1ha当たりの農薬使用量は11.24kg/haであり、世界第20位

昨年より0.65kg/ha使用量が減少し、7つ順位を落とす結果となりました。
順位はともかく、使用量の変化は誤差の範囲と考えてよいでしょう。

黄色くハイライトされているは耕地面積と農薬使用量のデータがありながらUse per area of croplandに組み入れられていなかった国名です。

ちなみに今回、フェロー諸島やタークス・カイコス諸島の様な自治領や構成国、海外領土のデータは省略させていただきました。ただし、極めて緩い共同体であるコモンウェルス(イギリス連邦)加盟国はそれぞれを独立して計算しています。

いつも思うのですがランキング上位国が軒並み算入されていないのはなぜなのでしょう?耕地面積や農薬使用量で足切りしているわけでも、コモンウェルス加盟国だからと言うわけでもなさそうです。

こればかりは私にも皆目見当もつきません…

要検証の数値たち

それにしてもセーシェルの456.28kg/haやクウェートの108.07kg/haなどは明らかに他国と比べて異常な値となっています。

数値そのものが正しいかどうかはもとより、なぜこのようなデータになるのかを今後じっくり検証していく必要がありそうです。

耕地面積、農薬使用量、使用農薬の内訳、主要農産物、気候区分などなど…あらゆる項目を今後比較していくとしましょう。

重要な留意事項

終わりに大切なことを申し伝えさせていただきます。

今回の記事にて示されている「耕地面積1haあたりの農薬使用量(kg/ha)」と言う数値を、その数値だけで比較することに本質的な意味はありません。

栽培する農産物やその土地の気候等、多く考慮しなければならない要素があり、当該データは単に「使用した農薬量」を「耕地面積」で割った指標に過ぎないのです。

それでも人はより単純で明快な情報を好みます。よく知った国、見やすいランキング…複雑なデータを削ぎ落とし都合良く見せ、消費者の不安を煽る統計が後を絶ちません。

殊に農薬はそのイメージから悪用されがちで、いまだに「日本は農薬使用世界一」だとか「国産野菜は農薬まみれ」だとか根も葉もないことを平気で宣い消費者を騙し、財を奪う方々も存在します。

今回のデータは、その本質的無意味さを抱えながらも上記の様な「救いようのない、どうしようもないデータ」を駆逐すべく使っていくものですし、誰にでも使って頂きたいと考えています。

単に農薬使用量で言ったらセーシェルは日本の実に40倍も使っています。であれば農薬の危険性を訴える方々はまず第一にこの国を調べて然るべきでしょう。

そんなこともしないでいつまでも古びた過去のグラフを持ち出すようであれば、遠慮なくこの記事のリンクでも画像でも転載してあげてください。

よろしくお願いします。

2020年のデータはこちら

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