少子化対策(育児支援、保育所整備、手当など)は社会全体に長期的に利益(労働力確保、年金制度の維持など)をもたらすが短期的に利益を得る企業・産業が限られている。
そのため、経済界からの強い圧力やロビー活動が他の政策(エネルギー、医療など)に比べて弱く、政策推進力に欠けるという側面がある。子育て支援産業(ベビー用品、保育サービスなど)は存在するものの、市場としては小さく、経済全体を動かすほどの影響力はない。
また出生率向上の施策は、成果が見えるまで10~20年のスパンが必要。すぐに改善するものではないので、政治家にとっては任期内に成果をアピールしにくく優先順位が下がる。経済界も「短期的リターン」が得られない分野に投資するインセンティブは低い。
社会構造から見ると、高学歴化、都市化、晩婚化、キャリア重視の価値観が定着し、そもそも子どもを持ちたいと思う人が減っている。家族観・性別役割の変化(女性が家庭に入る前提が崩壊)といった文化的要因は、単なる金銭的支援では解決が難しい。
多くの国では、育児給付や保育園拡充などの対策はあるが、一時的・表層的な対応にとどまっていることが多い。住居費の高騰、長時間労働、教育費の過剰な負担といった構造的な問題が放置されている。
真に少子化を改善するには、「子育てしながらもキャリアを維持できる社会」「家族と過ごす時間を大切にできる労働環境」など、社会全体の価値観と制度設計の変革が必要。但しこれは既得権益や労働市場構造との衝突を招くため、政治的コストが高い。難しい。
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