ここではSNSで発信された農業について誤った発言について列記し、単純明快に間違いを紐解いていく随時更新記事となっています。
時に辛辣な、時にユーモア溢れる想像力豊かなフレーズもありますので、是非お手隙の際にチェックしてみてくださいね。
25mプールにたった1滴で虫に殺傷効果のある劇薬!
一般的な25mプールの水量は
縦25m×横12m×深さ1.2m=360t
一滴を約0.04mlとすると希釈倍率は
360,000L÷0.00004L=9,000,000,000倍
90億倍に薄めて使う農薬、ということは例えば家庭園芸用に100mlの薬液を希釈しようと試みた場合、投入する薬量は約0.00000001ml、つまり一滴の400万分の1となります。
これはもう取り扱いが難しいというレベルではありません。
従って、この表現は著しく妥当性を欠いていると思います。
日本人のほとんどがネオニコ病!
そういった疾患は存在しません。
ネオニコチノイド系除草剤が出回っている!
ネオニコチノイド系農薬は殺虫剤です。これはおそらくネオニコチノイドと除草剤(グリホサート)のネガティブキャンペーンを混同してしまった哀れな例の一つかと思われます。
モンサント社のグリサポートは超猛毒!
ツッコミどころ多めです。
モンサント社は既に存在しませんし、グリホサートという農薬はあってもグリサポートという名称のものは存在しません。これは、そもそもグリホサートとはどのような物質か1度でも調べるような行動をとっていれば起こり得ない単純な表記ミスです。
ですがSNSにはたくさんのグリサポート発言が見られますので、言葉だけ鵜呑みにして追随してしまう思考の体力を失った方が少なくないことを示唆していると思います。
あとグリホサートは普通物であって毒物でも劇物でもありません。従って超猛毒という表現は誤りです。グリサポートは知らないですが…
畑に農薬を集中豪雨並の散布!
気象庁予防用語から「集中豪雨」とは数時間にわたり強く降り100〜数百mmの雨量を齎す雨の事
10aの畑に集中豪雨並に散布した場合、100mmの降水量で1㎡あたり100L
1㎡=0.01aですので10aの水量は100,000Lの計算に。
一般的な散布薬量は100~300Lなので降水量1mmの「小雨並に散布」が正しい表現です。
因みに有機JAS認証で利用可能なBT剤という農薬を例に取ると、1袋500gで価格は5000円、1000倍に希釈して使用します。
10万Lに必要な農薬は100kgなので、10aあたり100万円のコストが最低でもかかることに。10aには約5000個のキャベツが収穫されるので農薬だけで1個あたりのコストは200円!赤字確定ですね。
更に1回の防除で「集中豪雨並に散布」しようとすると、1000Lのトラクターブームで100回給水→散布を繰り返さねばなりません。
1行程20分だとして33.3時間なので2日がかりの作業。
また、手散布の場合はトラクターブームの5~10倍の時間がかかるので少なくとも10日以上の作業時間となります。
というか、10万L落としたら作物枯れます。
グリホネートの発癌性!
グリサポートの亜種と思われる空想上の農薬名です。名前程度はしっかり覚えてから発信しましょう。
コメント