【技術】#2 ロータリー耕による畑地管理

農業

基本的な雑草処理の手段、その2で除草剤についてまとめました。今回はロータリー耕による雑草処理について深掘りしていきたいと思います。

ロータリー耕の注意点

雑草を徒に生やしておくこどが現状”悪”とされる地域社会では、自分だけロータリー耕をしないのは顰蹙をかってしまうことなります。かといって如何にその行為が畑を痛めているのかをすぐに理解してもらうのも難しいのが実情ですので、それまでやってきた当たり前を変えるのには多大な労力を要します。いずれはやらねばならないことですが、その地域に根差す農業という業界では殊更困難を極めます。

では渋々周囲に合わせ何度もロータリー耕をしていくしかないのでしょうか。。悲観的になってしまう前に、少し考え方を変えてみましょう。何も全てロータリー耕でなくても良いのであって、同様に全て除草剤でなくても良いのです。どれもやりすぎ・やらなさすぎが問題になるのであれば、それらのちょうど良い塩梅を見つけて複合的にやれば上手くいくのではないでしょうか。

非作付け期間に雑草を生やしたままにすると顰蹙をかうような地域だけでなく、草丈が伸びすぎてしまった圃場や、隣接地に他人の作付圃場がある場合には、ロータリー耕と除草剤を組み合わせて使います。

雑草処理の功罪

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年代物のトラクターも活躍中

ロータリー耕で気をつけたいのは“タイミング”“耕起の度合”、この2つです。順番に考えてみましょう。

タイミング

なんと言ってもこれです、タイミング。いつどんな時に耕起をするか、それを間違えただけで雑草処理をしているつもりが、かえって雑草の再生を助長してしまうことになります。ただでさえ1円にもならない雑草処理が実は逆効果だなんて、そんな悲しいことはありませんよね。

ロータリー耕に適した条件は、

① 土壌に程度水分がある
② 作業日の天気は晴れか薄曇り
③ 作業翌日の天気が晴れ

これらできるだけ揃う日に作業を行います。
①について、土壌にある程度水分を持っている状態での耕起は、乾燥している状態で耕起するのと比較してロータリーの爪の摩耗を軽減することができます。1円にもならない作業ですから、できるだけコストも抑えます。加えてこちらの方が重要なのですが、ある程度水分があることで、後期によって地表面に露出した雑草の種子の発芽スイッチを入れさせることができます。

これだけ聞くと新たに雑草を生やしてしまうので逆効果に思えますが、②・③と合わせることで「タダの除草剤」をやることができます。
②と③について、作業日の天気はできるだけ晴れか、少し雲が出ている日にします。風が吹いていると尚良いです。そして、最低でも作業翌日の天気が晴れの予報のところを狙います。

新たな雑草を生やさない、新たな雑草種子の発芽を抑制するためには、「殺し水」よろしく“水の連続性”を断ち切ることを説明したかと思います。ある程度土壌水分がある状態で耕起することで、水分を含んだ土と雑草の種子が地表面に露出し発芽条件が整います。

しかし、作業日はもちろん、作業翌日まで天気の良い日を選ぶことで水の連続性を断ち、一度芽ぎませた種子を発芽不良にさせることができます。逆に雨の直前や前日はロータリー耕は厳禁です。特に気温の上がってくるこの時期にそれをやってしまうと、雑草処理をしながら雑草播種をしていることと同義ですので注意が必要です。

当たり前のことなのですが、耕して、種を撒いて、水をやれば当然雑草だって生えてくるのです。また、ロータリー耕は土壌に孔隙を作り「フワフワ」にするわけですから、雨の降る直前などにやればどのようになるかは自明でしょう。

スポンジ状の土にとてつもない量の水が浸透し、雨が上がってもしばらく圃場に入ることすらできなくなってしまいます。さらにスポンジ状の土も降雨に叩かれることで水分を仕舞い込んだ挙句物理性を悪化させるという最悪の状況が生まれます。

皆様、雨前に耕起してはいけないということをゆめゆめ忘れないでください。土壌水分がポイントとなってくるわけですが、いまいち水分量が足りないと思われる時は、風のない夕方頃から起こし夜露朝露を利用して水分を補完する方法もあります。

ただ、翌日の天気が晴れという条件は変わらない点は留意しておいてください。

耕起の度合

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このくらいで何も問題はない

もう一つ注意しなければならないのは、ロータリーの耕起の度合。要するに、しっかり起こすのか、ざっくり起こすのかということです。結論から言ってしまえば、ざっくり起こしてください。

丁寧にロータリーを当てて綺麗に均された圃場は見ていて気分も良いものですが、1円の利益にもならないどころか赤字です。雑草処理に関しては徹底してコストを抑えていきましょう。雑草処理の耕起は、「浅く・速く」が原則です。

うちではローギアの4速で起こしています。ただ、こればかりは圃場の状態だけでなくトラクターの馬力や使用するロータリーによって様々ですので、やってみて調節してもらう他ありません。耕起の目的は雑草を”処理”することであって、圃場を綺麗に均すことではありません。

ポイントは植物や作物の残渣をある程度地表面に残す様に耕起すること。重ねて申し上げますが、しっかり起こして土を塾れさせるのは定植前の本起こしでやればいいので雑草処理の時は厳禁です。

残渣をあえて残すことで、もし耕起後に予期せぬ大雨に降られた時に残渣が水の走る障害となり、土壌の流亡を防ぐことができます。

まとめ

このロータリー耕と合わせて除草剤を使用すれば、ある程度景観を損ねずに畑地管理ができるのではないかと考えます。定植前の起こし方のように綺麗に耕起しろと言われる地域は、どのみち発展することは難しいと思います。誰も使わない期間の畑の見た目のために身銭を投じる…誰も幸せになりません。

万一除草剤が厳しいという地域でも、上記の方法でやればトラクターが畑に入る回数を減らせると思います。踏圧や耕起による物理性の破壊もマイナス要素なので、入らないに越したことはありません。
我らが共通の敵、雑草との戦いの一助となれば幸いです。

それでは今回はここまで。ありがとうございました。

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