【検証】#7 日本の農作物は「農薬まみれ」なのでしょうか。極限まで妥協しない農薬調査⑤

農業
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いちご狩りのシーズンも真っ最中の今日この頃。

さて、日本の耕地面積1ha当たりの農薬使用量は2020年の統計で世界13位(海外領土を入れると15位)となっています。
そして前回記事で基礎的な項目と気候や位置関係などの「地理的要素」を農薬使用量と併せて考察してみました。
今回は諸事情ながら③主要農産物に焦点を当てて実態を見ていこうと思います。

とても面白そうですが、60カ国の農作物データを拾わなければならないという事実に目眩がしてしばらく手を付けられていませんでした。ここ最近でやっと重い腰が上がったのでぼちぼち進めていきましょう。そろそろ心が折れそうです。

各国の農作物をリサーチ

農作物別の農薬使用量はFAOの統計では調べられませんでしたが、各国の生産している農作物のデータは拾うことができます。そこで今回は品目別の農作物を生産量(t)ベースで抽出してみました。収穫面積(ha)ベースで抽出することもできましたが、おそらく生産物そのものの量で考えた方が妥当でしょう。

問題は品目の違いによる使用量に差があるということは間違いないものの、品目ごとの詳細な差異まではわからないということです。ここが明確に抽出できれば色々助かるのですが…
これについて、複数の農薬関連企業の方々にアドバイスをいただき、ざっくりとですが使用量の多い品目の序列を下の様に作成しました。

①果樹・果菜類・茶>②鱗茎類>③その他野菜・葉菜類>④芋・豆・穀類>⑤工芸作物>⑥飼料用作物

それぞれの細目を説明すると

● 果樹・果菜類 … リンゴ・モモ・ブドウ・イチゴ・パイナップル・メロンなど
● 鱗茎類    … ネギ・タマネギ・ニンニク・ニラなど
● その他野菜  … 根菜類・イモ類など
● 穀類     … コメ・コムギ・オオムギ・ソルガム・トウモロコシなど
● 工芸作物   … サトウキビ・テンサイ・オイルパームなど

こんな感じになります。
ざっくりとにはなりますが、より使用量が多い品目を濃い緑で、少ない品目を淡い緑で示していこうと思います。

農薬使用量(kg/ha)と農作物の種類

上位30カ国
下位30カ国

如何でしょうか?
上位国と下位国では濃淡の付き具合が明らかに違います。上位ではコスタリカやトリニダード・トバゴ、モルティブやオマーンなどが多く①果物類を主要農産物としており、農薬使用量が多くなる理由を窺い知ることができます。

ちなみにフェロー諸島の異常なまでの農薬使用量(333.29kg/ha)ですが、当該国の農産物はジャガイモのみだったものの気候を考えると到底必要な量を超過しています。これに付いては貴重な農産物を守るための処理、ジャガイモで言うとクロルプルファムによる発芽抑制処理がカウントされているのか?と勝手に考えています。しかし収穫後の場合は食品添加物になるはず…と謎は深まるばかりです。現在デンマーク農業庁に問い合わせているので、返報が来たらまたお伝えしようと思います。

反対に下位の国々では、③に該当する芋類が多く、工芸作物や穀類も目立ちます。耕地面積1ha当たりの農薬使用量は、少なからずそれぞれの国の主要農産物の関係がありそうです。

しかし、どちらの群にしても、主要農産物の80%がサトウキビのバルバドスが21.06kg/1haだったり、上位国に多いバナナを35%の割合に持つウガンダが0.0097kg/1haであったりと、主要農産物と耕地面積1ha当たりの農薬使用量との相関関係は必ずしも強いものではないと思います。

こういう農産物を作るから農薬を使わないで済んでいる、と言うよりは農薬を使えないからこういう主要農産物になっている、という様な気がしてなりません。となれば、農薬使用量を決める要因は地理的要素、主要農産物の他にもまだあるはずです。おそらく国によっても違いますでしょうし、複雑に原因が絡み合っているのでしょう。

お次は

今回ご協力頂いた農業関係者の皆様については厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
次回は何だかんだ大きな原因になっていそうな「経済的要因」に付いて色々調べてみようと思います。同時に、並行して一定数SNSで見かける「利権・陰謀」に係る根拠についても調査を開始したいと考えていますのでもう少し続きそうです。

それでは今回はここまで。
ありがとうございました。





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