「より安全で安心な食べ物を」
これは万人に共通する想い。
国内でも残留農薬のニュースが時たま流れている。日本は農薬使用量が多く、農薬の残留によって消費者の安全が脅かされているのだろうか?少し前まで農薬使用量のトップに君臨していた中国と比べると意外な事が分かった。
中国の農薬中毒事故
2002-2017年の間に中国ではなんと562件もの食品を媒介とする農薬中毒が発生。計6335人が中毒を起こし、151人が死亡している。主に農薬は「有機リン」系のもので、野菜・穀物・果物を介した残留農薬の摂取が原因(200件)だ。
死亡事例では毒ギョーザで知られるメタミドホスやパラチオン、カルボフランという成分が原因。どれも日本では禁止されたり、農薬としてそもそも登録されていない物質が多く、共通しているのは国内では毒物として登録されている除草剤成分パラコートくらい。
因みにグリホサートは中毒例こそあるものの死亡例はなく、ネオニコチノイド系農薬については皆無。残留農薬で最も問題になったのは有機リン系のもので、これは農作物の殺虫剤として1930年代に開発された歴史の古い農薬。
この有機リン系農薬が中国ではキャベツや空芯菜等の葉物野菜に多く使われている。これらの人気野菜は一般的に加熱されず、生のまま食べられるため残留農薬中毒のリスクを高める結果となっている。
故にある文献では一部農薬成分の分解・除去を期待できる加熱・洗浄が必要であると訴えている。
中国では年を経る毎に死亡事例の発生件数は減っているものの、中毒事故は依然として少なくないようだ。
それもあってか野菜を洗剤で洗ってから使うことが一般的になっており、ベ◯セーフのような野菜専用の洗剤も普及している。
日本の残留農薬中毒事故は?
翻って、日本はどうか?農薬中毒事故のデータを遡って探してみたが、「残留農薬による中毒事例」は皆無だった。直近では2020年に福岡県で春菊から基準値を超過する残留農薬が検出され自主回収する事件があったが、これに起因する健康被害は発生していない。
このように2000年代以降で区切ったとしても、200件以上の中毒事例の過去を持ち野菜の生食に一定量のリスクを内包する中国(農薬使用量82位)と、残留農薬の中毒事例は皆無であり、検出超過時の対応も迅速な日本(農薬使用量20位)とでは、食の安全性における安心感にどうしても差が付いてしまう様な結果。しかし。
今般では一部のYouTuberやジャーナリスト、大学教授までもがこぞって国産農産物の危険性を訴える始末だ。農薬まみれ、添加物まみれ…それでも、彼らがなんと言おうと、日本の農産物による残留農薬事故は皆無。調べた限り1人も亡くなっていない。
農薬や化学肥料の使用と不健康や発達障害との間に因果関係は存在せず、がん患者の減少する世界屈指の長寿健康国なのはまぎれもない事実。
大衆の不安をメシの種にする人たちがいるということを認識した上で、安全性が十分に担保された豊かなこの国の食生活を謳歌しよう。日本でベ◯セーフやホタテパウダーを使い食の安全性を高めることは正直難しい。
バランスの良い食事こそ、私たちの健康への1番の近道。でもたまにはジャンクフードも良いよね。美味しいものが全て身体に良いとは限らないのだから…
参考文献
・2002—2017 年中国食源性农药中毒事件分析
https://www.zgspws.com/html/zgspwszz/2021/3/20210324.pdf
・日本と中国における農薬中毒比較
https://www.kouseiren-ta.or.jp/n-tnouson/kaisi/kaisi_25/250445.pdf
・基準値180倍超え農薬の春菊、原因はタマネギ用の誤散布
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/671866/#google_vignette
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