【検証】#23 オーガニックショップのトンデモ具合を調べてみた①

農業

今般話題のオーガニック。色々な誤情報や実態とズレたイメージが跋扈する中、正月の暇な時間を使ってインターネット上のオーガニックショップについて少し調べてみました。

導入と大前提

大前提として、健康・栄養面及び安全性について、有機栽培(オーガニック)と慣行栽培で明確な差はありません。しかし一般的には「オーガニックは身体に良い・安心安全」というイメージが根強く、これに対してオーガニックを売る側はどのように消費者に向けて訴求しているのでしょうか?

調べ方は至ってシンプル。「オーガニック 農産物 通販」とGoogle検索をかけて片っ端からショップサイトの内容をチェックしていきます。

トンデモ度は
A:がっつりトンデモ
B:そこそこトンデモ
C:ちょっぴりトンデモ

ー:トンデモ要素なし

という感じでざっくりと。といっても内容はよく吟味していこうと思います。
さて、どんなもんでしょうか。

① GLOSA ORGANIC さん

トンデモ度【A】

・慣行栽培では生育がよくなるようにと栄養が人工的にプラスされた土や肥料が当たり前のように使われており、その安全性は国の基準で化学肥料や農薬の基準は定められていますが、人が長期間摂取した際の影響についてはまだまだわかっていないことも多い
 →健康のために野菜を食べていたはずなのに…ということも。
化学肥料を使って作る野菜は生産量確保のためにたいてい短い期間で大きく生長できるようになっていて、その分味も薄くなる。有機栽培で作ったお野菜は味が濃くて美味しい(検証データなし)
・人為的に特定の人工的な栄養を足したり、あるいは作物生長に邪魔になる虫を殺したりしていると間違いなくそこにある生態系は崩れ、土は痩せ細ってしまう
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安全基準が定められている化学資材に対して長期間の摂取でどうなるかは〜という典型的な「自然=良い・人工=悪い」という論理展開。健康のために野菜を食べていたはずなのに…と婉曲表現しているかと思いきや慣行栽培の農産物は味が薄く有機栽培の方が美味しいという直接的な比較優位に言及。

「土は痩せ細る」というマイルドネガティヴフレーズはこういったサイトの常套手段。有機JASの内容に触れるページはなし。明確な慣行貶しがあるため、トンデモ度はA相当と思われます。

② たべるとくらすと さん

トンデモ度【A】

たべるとくらすと5つのこだわり

1. 私たちが美味しいと思えるもの

2. 家族に安心して食べさせられるもの

3. オーガニック思考で作られているもの(有機JASの認証の有無は不問)

4. 環境に配慮されて作られているもの

5. 愛情込めて作られているもの

<商品基準>

農薬、化学肥料、除草剤を使用していない野菜やお米などの農作物
添加物を使用していない加工品や調味料

※生産者様から生産製造工程を伺った上で上記基準外の出品も許容する場合がございます。 詳しくは商品ページをご確認の上、お買い求めください。
HPリンク

生産者直売のオーガニックモールと謳っているが有機JAS認証農産物はなく、ページには「無農薬」のワードがいくつも散らばる。

サイトには商品基準があり、「農薬、化学肥料、除草剤を使用していない野菜やお米などの農作物添加物を使用していない加工品や調味料」とされているもの、のちゃっかり「※生産者様から生産製造工程を伺った上で上記基準外の出品も許容する場合がございます。 」と記載。これだと要するに何でもよくなってしまう気がするのですが…

サイトに農産物提供している生産者が農薬不使用と謳っているが無農薬のカテゴリに入れられているのもモヤる。というかオーガニック思考とは…?有機JAS農産物がないためトンデモ度はA。

③ ふるさと21 さん

トンデモ度【A】

スーパーに並んでいる作物はどのくらいの農薬が使われているかという事はあまり公表されていません。例えば、北海道で栽培する普通の農家さんがキュウリを育てる際の慣行回数は33回の農薬使用となっています。

上記PDFファイルのように、全国の作物に国で定めた農薬の使用回数の基準がありますが、その存在を知っている消費者はごく一部の方のみだと思います。

この現実を知って頂き、無農薬野菜を育てる生産者の大切さ、 農薬の恐ろしさ、自然農法栽培の安全性について考えて頂ければ幸いです。
HPリンク

無認可農薬不使用という謎のワードが飛び交う。典型的な農薬=悪の論理展開。「どれだけ農薬を使ったか」「どれだけ残留しているか」だけでは農作物の安全性は図れず、摂取量と摂取機会を掛け合わせて「どれだけ摂取する可能性があるか」を考えないと意味がない。

要は一日摂取許容量(ADI)で見るもので残留農薬基準を引き合いに出すサイトは十中八九不安商法なので注意した方が良いです。

④ ビオ・マルシェ さん

トンデモ度【ー】

ビオ・マルシェで取り扱う有機野菜は、有機JAS認証の野菜が基本です。それは、客観的で明確な基準である有機JASが、食べる人、生産者、お届けする私たちにとって確かな「ものさし」になるからです。

健康な土で時間をかけて、丁寧に育てられた有機野菜は、オーガニックな暮らしの基本になるはず。オーガニックを日常のものとして、たくさんの人に楽しんでもらいたいと思っています。
HPリンク

サイト内で販売されている野菜は100%JAS有機認証農産物。認証外の商品にはオーガニックや有機という文言が使用できない、しないところまで言及しており、慣行栽培との比較有意ではなく新たな生活様式としてのオンリーワンとしての「オーガニックのある生活」を目指している。トンデモ要素の見当たらない誠実なサイトと言えるかも。

⑤ 自然派きくち村 さん

トンデモ度【A】

「自然派きくち村」は、「“畑からはじまる”商品づくり」をコンセプトに、「誰が」「どこで」「どのように」作ったのか分かる、安心・安全な食品を取り扱うインターネットショップです。このショップでは、農薬や肥料を一切使わない自然栽培によって育てられた米をはじめ、旬の野菜や果物、オリジナルの調味料・惣菜・スウィーツなどを取り揃えています。いずれも、大量生産・低価格に重点をおいた近年の食品とは異なる、栄養豊富で、自然のパワーがたくさん詰まった安心・安全の“本物”ばかりです。

私たちは現代の「食」に対して、強い危機感を感じています。世の中にあるほとんどの食べ物には添加物が使われ、スーパーマーケットなどに並んだ野菜には農薬が用いられています。そして添加物や農薬を使う行為が当たり前のことになっています。国が認めているから安全? 本当にそうなのでしょうか? 添加物にまみれた食生活の果てに、一体どんな未来が待っているのでしょう。 売れるものではなくて、食べる人たちにとって本当に良いものを届ける。私たちは安心・安全のために手間暇がかけられ、愛情が注がれた本物を発見し、提供することを使命だと考えているのです。
HPリンク

「農薬や肥料を一切使わない」と言いつつ品目によってちゃっかり「化学農薬を使わない」とか「天然資材のみ使用」など何でもありの状態。国が認めているから安全?と疑問を投げかけているが認可行程のどの部分に疑義があるのかは明示されていない。

慣行農産物は「本物」ではないらしく量の概念を無視した典型的な不安商法を展開しており、強い危機感を感じさせます。トンデモ度はA。

まとめ

とりあえず試しに5つのサイトを検証してみましたがトンデモ度Aが4、トンデモ要素なしが1という結果でかなりお腹いっぱいになってしまいました。検索上位にもしっかりトンデモサイトが上がってくることにそこはかとない危機感を覚えます。

やはりこういったサイトもオーガニックに対する誤ったイメージを助長しているのだと思います。しかし農水省はじめ政府は規制に及び腰です。それを良いことに虚実を織り交ぜて好き勝手販売されている現状を放置しても良いのでしょうか。最後に割を食うのは消費者ですから…

また時間がある時に続きをやっていこうと思います。

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