前回の記事で基本的な雑草処理の手段、またそのメリットデメリットをまとめました。
今回は除草剤を使用した雑草処理についてもう少し深掘りしていきたいと思います。
除草剤の利点
除草剤による雑草処理のメリットは
・ロータリーやトラクターの圧力による耕盤を作らない
・徒に耕転しないため土壌の団粒構造を破壊しない、土を練らない
・土壌の流亡を防ぐことができる
・コストが比較的安い
等でしたね。
今回追加で申し上げることは、
「畑は堆肥や有機肥料などを入れず化成肥料だけ使っていると、土壌中の有機質が不足し、土が締まって硬くなり、作物の生育に悪影響を及ぼす」
という今般の耳慣れた情報に常々疑問を抱いていたところから始まります。
何が疑問かというと、私のところでは堆肥や有機肥料を全く使わないのですが、特に土が硬くなったとか生育が悪くなったとかそういったことが一切ないのです。この世間一般とうちの実情の乖離が謎でしかありませんでした。
この矛盾を解決するにあたり、1つの糸口として畑地の雑草処理を考えたのです。
土が硬くなる原因は、主に土壌中の団粒構造の破壊です。粘土質で気相がなければそれはもうガチガチです。
団粒構造の形成には有機物と微生物が必要なわけで、だからこそ堆肥や有機肥料、緑肥を使うというロジックだと思うのです。
ではそれをやらないうちの畑では何が起こっているのか。
畑地管理のサイクル
うちの非作付期間の畑地管理はこのような流れでサイクルしています。
① 雑草や作物の残渣を耕起せず残す
② 除草剤である程度枯らす
③ そのまま次作の定植時に耕転する
考えてみるに、この作物の残渣や雑草が除草剤によって枯死し、それが有機物(腐植)となって微生物分解がおこり団粒構造の形成に一役買っているのだと思われます。
次作の定植時にある程度雑草や作物の残渣が残った状態で耕起するのも有機物を畑に鋤き込んでいる作業を同時にやっているということになります。
しかし世間では堆肥を何トンも入れ有機肥料も使うのに、残渣と雑草程度の有機物で前者の代替となりえるのか?という疑問が浮かびます。
ここでわかってくるのは、年1回というロータリー耕の回数の少なさが重要なのではないかということです。折角堆肥や有機肥料で団粒構造の形成環境を整えたところで、何回もロータリーを当てていては作った団粒構造をまた破壊しているのと同義です。
“何もしない”が畑を良くする
畑地の管理は、如何に耕起しないか、如何に何もしないかです。
昔父もロータリー耕で畑地の管理をしていたのですが、多忙を極め管理に手が回らず収穫後放置状態だった圃場で定植前耕起をしてみると、驚く程良い土目になっていたそうです。
ここから我が家の畑地の管理は省力化され、コスト削減とともに土目も改善していったと聞きます。
狙ってやったわけではないこの経験が今に活きているわけですが、世の中には畑地に草を生やしていると何かと苦情を言われたりする地域もあります。しかし非作付期間に畑を綺麗に保つことは1円の利益も生まないどころか土壌環境をどんどん悪化させていることにもなりかねないのです。
除草剤である程度雑草に大人しくしてもらいながら、次期作まで起こさずに管理する。たったこれだけの方法で土壌環境は驚く程改善するということは、未だによく知られていません。
これを当たり前にして、畑に草がある程度生えていることを良しとできる環境作りも必要です。見た目ばかり気にして農家が損を被る必要はないのではないのでしょうか。
上手く行けばトラクタの消耗や燃料代、爪交換費用、堆肥や有機肥料の削減による省力化、省コスト化が期待できます。
しなくても良い苦労を、しなくて済む様になるならば、それは挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか。
最後までお読み頂きありがとうございます。それでは今回はここまで。ありがとうございました。
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